良く出来過ぎている国、ニッポン

なんだかここ数週間、バタバタし通しでブログ更新が遅くなっております。大変お恥ずかしい限りでして、やると決めたからにはちゃんと継続していきますので何卒ご容赦くださいませ。

さて、今回はちょっと軽めのポストなのですが、シリコンバレーでの生活も1年弱になって参りまして、一つ痛感していることがある、というお話です。それは、「日本はあまりにも良く出来過ぎている」ということ。

例えば、Fintechを例に取ってみましょう。シリコンバレーでは、Bitcoinそのものではなくても、例えばBitcoinの技術を利用したWire Transfer(送金)に関する仕組みやサービス、アプリなどを利用しているStartupが雨後の竹の子のようにうじゃうじゃと存在しています。勿論それぞれ特徴を出して差別化を図っているのですが、日本ではBitcoinを使った送金の仕組みを開発しているスタートアップさんの話はあまり聞くことはありません。

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勿論、アメリカと日本でBitcoinそのものに対するイメージが違う(マウントゴックスさんの事件などもありました)という問題はあります。僕の勤務先のオフィス内にあるインキュベーション・オフィスの前バッチが全部Bitcoin関係だったことからも明らかなように、シリコンバレーにおいてBitcoinは「新しい技術であり、様々なことに応用可能で極めて有望な技術」という認識が強いように思われ、他方で日本では「なんか胡散臭いヤツ」というイメージが強いのかなぁと思います。だからといって、日本の起業家の方々がみなさんイメージ先行で敬遠しているとも思えず、日本にそのようなスタートアップがたくさん出てこない理由は別のところにあるのではない、かと思っているのです。

それは、「日本では送金についてフラストレーションが溜まる局面が少ない」ということです。日本に暮らしていたときは特に何も思いませんでしたが、ネットを使って送金をしたりするとき、特にストレスはないですよね(本人確認のため情報を何個も入れなければいけないのがメンドクサイということはありますが、安全じゃないのはもっと困りますからね)。相手の名前と銀行、支店と口座番号さえ分かれば特に何も意識は不要です。手数料も通常数百円、銀行によっては残高次第で一定回数手数料が無料だったり、いずれにせよ大したことがありません。また、送金の結果は基本的に翌営業日には何の問題も無く反映されますし、条件によってすぐ相手の口座に着金することもあります。

これに対し、アメリカでは銀行送金って非常に面倒くさいのです。銀行名、支店名は勿論、支店の住所やSWIFTのコードまで必要とされる場合があり、ちょっとでも間違えると送金失敗(なんだそりゃ)。更に手数料はアメリカ的な「翌営業日なら50ドル、2,3営業日なら30ドル、5営業日なら20ドル」のようにスピード次第で変わってくる上、手数料が大変お高くなっています。文化として小切手が未だに重用され、「近ければ小切手渡したり送った方が早いよ、手数料かかんないし」と言われることもしばしば、という特殊性はあるにせよ、太平洋の海底にケーブルを通してインターネットが世界中繋がっているこのご時世にあんまりだと思いませんか。

スタートアップのプレゼン資料は「Pain(痛み=課題)」「Solution(解決法)」「Market(市場規模)」「Team(会社のチーム)」がシンプルに纏まっていることが良いとされていますが、アメリカに住んでいる人はWire TransferにPainを感じているからこそ、それを解決しようと考えている=最新の技術を利用して少しでも早く、安く、正確で安全な送金手段を作ろう、と考えている、のだと思うのです。日本ではこのような痛みを感じることが少ないのですから、「よっしゃ、いっちょなんとかするか!」と考える人が少ないのも納得。クレジットカードをどんな小さな商店でも使えるようにしようとしたSquareなども、クレジットカード社会でカードが使えないと非常に不便だという痛みを強く感じているからこそ出てきたサービスなのかもしれません(こちらは日本でも競合サービスがありますが)。

これってFintechに限った話ではなく、実は色々な技術分野においても同様です。Uberはアメリカのタクシーが色々酷すぎた上、「流しのタクシーを拾う」ことが一部の大都市を除いて困難だったことから爆発的に普及したところ、日本ではタクシーは安全な手段として普及しているし、都市部では基本的に流しのタクシーを捕まえることが可能です。車内は原則清潔ですし運転も原則安全です(一部例外はありますが、それはどんな業界でも同じことですよね)。

そんな日本で、しかも業法違反の可能性に対峙してまでその現状を打破しよう、という動きが出てこないことに、僕は違和感がありません。世界の中で見たとき(僕はそんなに世界中行っているわけではないのですが…)、やはり日本って社会インフラを含め非常に完成度が高いと思います。

これはやっぱり日本企業や日本の労働者が誠実に真面目に仕事に取り組んできたこと、優秀な官僚の方々の旗振りが大きな方向として間違っていなかったこと、の恩恵なのだと思っています。他方、日本固有の文化として不合理だったり意味不明なことなども数多くある気がしますが。

ある意味日本は世界の中で「特異」な状態にあり、その特異な社会の課題を解決しようとすると、他の世界ではニーズがなかったりする、というジレンマのようなものがあるのではないでしょうか。

と、おそらくシリコンバレーに暮らしたことのある日本人なら必ず誰もが感じそうで恥ずかしいことながら笑、ちょっと語ってみた金曜日の夜でした。アメリカは来週月曜日は5月の最終月曜、つまりメモリアルデーで休日です。どこかに行かれる方も多いかと思いますが、是非楽しんできてください!そして日本はだいぶ暑くなってきたようなので、体調など崩されませんように良い週末を!

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