アメリカでの会社設立(11)~各種書面への調印~

定款のファイリング、EINの取得、銀行口座の開設、州・市での登録の完了まで済むと、ほぼ主要なお役所手続(銀行はお役所じゃないですけどね笑)は完了です。

ただ、この時点では、会社の箱だけできた状態で、中身カラッポの状態ですので、関係書類を準備して、サインして会社の中身を作っていく作業が必要になります。

といっても、Law Firmに依頼していれば、適宜のタイミングで関係書類が贈られてきますので、(理想的には)全部目を通して、所定の欄にサインをすれば完了です。

が、この書類君たちがまたなかなかの分量でして、一言一句全部目を通そうとすると、それなりに…というか、ぶっちゃけかなり大変です。

なので、多くの方は、超斜め読みをするか、あるいはサイン欄だけサーチしてサインして終わらせているのではないかと思いますが(まじめに読まれている方、すいません)、一応、書面の概要だけは知っておいたほうがよいかなと思いますので、ここで簡単に紹介しようと思います。

た・だ・し!

以下にも書いてありますが、Restricted Stock Purchase AgreementとStock Optionは、資本構成に絡んでいて超重要ですので、次回以降、掘り下げて説明していこうと思います。

なお、以下の説明は、僕の勤務先であるWSGRでいつも用いている書面をベースにしていますので、他のLaw Firmとは異なる部分もあるかもしれませんが、あしからず。

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Action by Incorporator

会社の設立者(Incorporator)が、自分をDirectorに選任することと、Bylaws(株式取扱規程とか取締役会規程とか役員規程とか、そんなものをごっちゃにしたような規則集です。)を会社の内規として承認することを内容とする書面です。定款でDirectorを選任していない限り、Directorがいない状態ですので、設立者が選任することになります(この点は、たしか日本も一緒ですね。)。

通常は、ファウンダーの方(々)が、Directorに就任します。が、初っ端からDirectorが多すぎても色々とめんどくさいですので、1人か2人、せいぜい3人くらいが良いのではないかと思います。

Written Consent of the Board of Directors

上記のとおり Directorに選任された人たちで、

  • Board of Directorsの人数
  • Officersの選任
  • ファウンダー株主等に対する株式の発行
  • 補償契約、雇用契約等の所定の契約書フォームの承認
  • 会計年度の設定
  • オプション・プランの採用等

を決定します。

日本と違って、Board of Directorsの人数も、Directorsが自分たちで決められます(定款に記載があったら別ですけどね。)。

Officersというのは、典型的には、PresidentやCEO(両者兼任が多いです)、Secretary、Treasurerといったところです。Officerという概念は、日本人にはちょっと分かりにくい概念のような気がしますが、ここは各人の「役職」程度に理解しておけばいいと思います。なお、カリフォルニアでビジネスをやるにあたっては、Treasurerの選任が必要となっていますので、お忘れなく!

Certificate of Adoption of Bylaws  

Bylawsが適法に承認されたことを証明する書面です。Secretaryに選任された人がサインすることになります。

デラウェア会社法上、オプションプランの採用と取締役等との補償契約の締結については、株主さんから承認をもらう必要があります。とうことで、今度は株主の立場で、この書面にサインしましょう。

ちなみに、この承認は、議決権の過半数を保有する株主から得られればOKです。なので、ファウンダー株主全員からの承認が不要になることもあります。

Indemnification Agreements 

Directorに就任された方は、通常は補償契約を締結します。別に必要と思うのならいいのですが、会社のために一所懸命働くのですから、ここは素直にサインしましょう。

万が一の時に、必ずや力になってくれると思います。将来的にDirectorやOfficerに就任される方とも、同様に補償契約を締結します。

Restricted Stock Purchase Agreement(又は単なるStock Purchase Agreement) 

日本では、会社設立の準備段階で株式を引き受けて、所定の金額を払い込まなければ、そもそも会社設立ができないのですが、アメリカではそうではありません。まずは会社という箱を作って、それからファウンダー等に株式を買ってもらいます。

Restricted Stock Purcahse Agreement(又は単なるStock Purchase Agreement)は、この株式を買うための契約です。

この契約は、会社の資本構成と密接に絡むものであり、また、内容的にもきちんと理解しておかなければならない事項が多いため、次回以降、詳細に説明していこうと思います。

Option Plan&Stock Option Agreement

会社がストックオプションを付与する場合、必要になるのがオプションプランと呼ばれるものです。日本人には馴染みがないので、最初はとまどうかもしれませんが(とまどうのは、日本の新株予約権の考え方に慣れてしまった弁護士だけかもしれませんね)、要するに、「発行可能株式総数のうちの一定数を、ストックオプションが行使されたときに発行される株式用に取り分けておきますよ」といったようなイメージの書面です。

シリコンバレーでStartupをやるにあたって、ストックオプションは本当に重要ですので、こちらについても、おいおい深堀して説明していこうと思います。

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