StartupとLaw Firm (3)

アメリカの法律事務所って日本と何が違うのさっていう前回のお話の続きです。

前回のお話に興味のある方はコチラからどうぞ。

(2)数字

Startupに限ったことなのかもしれませんが、シリコンバレーでは、ローファームが、純粋な法律相談のみならず、資本構成やファイナンス前後での持ち株比率・希釈化率の計算を行います。

例えば、Series Aのファイナンスを検討するにあたって、そのファイナンスが既存株主にどのような影響を与えるか、Series Aファイナンスの前にブリッジとしてConvertible Note(一定の金額以上でのファイナンスが行われた際に、当該Noteの元本及び利息が、当該ファイナンスで発行される株式に自動的に転換される旨の条項等がついた借り入れのこと)が発行されていた場合には、検討中のSeries Aファイナンスによって、そのConvertible Noteがどのように株式に転換されるのか等を計算し、Series Aファイナンスが実行された後の資本構成等を試算したCap Table(Pro Forma Cap Table)、その作成も、基本的にはLaw Firmが対応します。

この計算が意外と面倒で、もちろんエクセルを使って行うのですが、Convertible Noteが複数にわたって発行されていて、NoteごとにDiscount RateやValuation Capが違っていたりすると(なんのこっちゃ分からんと思われるかもしれませんが、これらの用語については、おいおいブログ内で解説しようと思います。)、結構複雑な計算が必要になります。これに、「ファイナンス後のOption Poolがファイナンス後の発行済総株式数(Option Poolを含む)の10%になるように、ファイナンス前にOption Poolを増加させる」なんて命題が加わると、エクセル内で計算式が循環しだして、えらい目にあったりするわけです。

この手の業務は、日本では弁護士があまりやらず、会計士さんですとか数字に強いアドバイザーが対応することが多いと思うのですが、考えてみると、これらの計算の根拠は、弁護士が作った契約書等に基づいてはじき出されているのですから、計算式を理解し、一番正確に計算できる(はず)の人も、弁護士のはずなのです。

だから、本来はこのような計算業務も弁護士がやるのが妥当なはずなのです!・・・が、いかんせん、この手の業務が必要になってきた段階で、この手の計算業務を対応できる弁護士がほとんどいなかった(+弁護士の絶対数が少なく、殿様商売的な面もあったため、対応しようとする弁護士もほとんどいなかった)ため、いつのまにか他の専門職の方の仕事になり、そのまま現在に至っているのかもしれません(僕の勝手な想像ですけどね。)。

長くなってしまいましたが、何を言いたいかというと、シリコンバレーでは、Law Firmが、純粋な法律業務だけにとどまらずしっかり数字にも関与し、日本は他の専門職の方がやっている業務まで対応している(もちろん全部ではありませんが)ということです。
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すなわち

「Law Firmに行けば、とりあえずStartupに必要な一通りのサービスは受けられる」

だからこそ、シリコンバレーの生態系にLaw Firmがしっかりと根付いているのだろうと思います。

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