前回の投稿で、相方がこっちにボールを投げてきましたねぇ。ええ、イイ球です。ズバッと真ん中に投げ込んできました。
この場合、驚きのあまり思わず見逃し、気持ちを切り替えて次の球に狙いを絞る・・・なんてことはしません(笑)。好球必打、打ちにいってやろうと思います。
さて、
「日本とアメリカのどちらで会社を作った方が良いか」
このテーマは、シリコンバレー、さらには世界を見据えて起業しようとしている方に取って、まずぶつかる法的な問題なのかもしれません。
相方は、「VCからの視点」ということで、シリコンバレーのVCは、原則としてアメリカ法人にしかお金を入れない、だからシリコンバレーのVCからお金を調達することを目論んでいるのであれば、米国法人が選択肢としてあがってくるというお話をしていました。
では、「会社からの視点」ではどうなるのでしょうか?
WSGRでは、基本的に会社側に立ってアドバイスを提供していますが、その際に何か違いが出てくるのでしょうか?
答えは「否」
実は、日本法人を選択するか米国法人を選択するかで、VCからの資金調達の可能性と方向性が大きく変わってくることは、この手の悩みを抱えているスタートアップの方に、いの一番にお話する内容です。
なぜなら、最初から潤沢な資金を持ち合わせている例外的な場合を除き、ほとんどのスタートアップが、ビジネスを発展させていくに足るだけの資金を持ち合わせておらず、遅かれ早かれ外部から資金を調達する必要があるからです。
そのため、どちらの法人が望ましいか悩まれているスタートアップの方には、資金調達を最初からシリコンバレーで行うつもりであればデラウェア法人(なぜデラウェアかは追って説明します。)、日本で行うつもりであれば日本法人、というアドバイスをすることが一般的です。
要するに、「当面の資金調達先として日本とアメリカのどちらを考えているのか」ということがメインです。もちろん、スタートしようとしているビジネスがアメリカで受け入れられやすいのか、逆に日本で受け入れられやすいのか等、ビジネスの内容等も考慮する必要はあるとは思うのですが、結局アメリカで受け入れられやすいビジネスであれば、地元アメリカのVCがまずは興味をもつはずで、そうなるとアメリカのVCから資金調達することを念頭に置いた方が合理的、ならばアメリカ法人にしましょうかということになると思いますし、逆もまたしかりですね。結局のところ、当面の資金調達先が日本なのかアメリカなのか、その点に尽きるのではないかと思います。
ただ、ここで一点誤解しないようにしたいのは、「日本での資金調達がメイン→世界で戦えない」という図式には必ずしもならないということです。もちろん、ビジネスの内容が日本特有のものであり、したがって日本の投資家しか惹き付けられなかったというのであれば話は別ですが、日本で資金を調達したからといって世界で戦えなくなる必然性は無い訳です。
周りを見渡せば、日本の株式会社のままで世界で戦っている会社さんがゴマンといますしね。むしろ、日本で資金調達がしやすいのであれば、まずは日本で資金を得て速やかに成長させ、その後にアメリカで資金調達を目論んでも遅くはありません。その際に、親会社をデラウェア法人にする必要があるのであれば、課税が生じないようにしながらそれを実現する方法も考案されています(この点もおいおい説明します。)。
長くなりましたが、日本法人かアメリカ法人かを検討するにあたって意識すべき最重要ポイントは、
「ビジネスを成長させる。そのための資金は日米どちらが調達しやすいか。」
ということなのだろうと思います。
せっかく法人の話になりましたので、今後、日米をまたにかけながら(多分)、各法人の特徴や設立手続、費用等々について、基本的なことを書いていきたいと思います。