日本Startupの資本政策(その1)

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いやはや大変ご無沙汰ぶりのポストとなります。

7月に帰国後、あたかも何もなかったかのように笑、ご愛顧戴いております。。。

おかげさまでベンチャー関連のお仕事もそれなりにお声掛け戴けるようになりまして、日々勉強させていただいております次第です。本当にありがとうございます!

さてさて、久しぶりの今日は、タケウシ隊員に触発されて、Startupの資本構成に関するアレコレ日本編をお届けしたいと思います。

日本で株式会社を設立する際、最初に「発行可能株式総数」と「設立時に発行する株式数」を決めることになりますが、そのあたりの定量的なお話をば、まず。

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「シリコンバレーでは、基本的に1000万株~1500万株くらいを当初の発行可能株式総数にするよ」というお話がありました。

これ、日本の感覚だとやや多い数になります。設立の時点で創業者の方がどの程度その後の資本政策を考えているか、というのはケースによって異なりますが、シリアルの方やStartupに慣れていらっしゃる方でも、最初は1万株~10万株くらいをざっくりとしたイメージとしてお持ちの方が多いかな、という印象を持っています。

勿論、原則として発行可能株式総数はいくつに設定しても構いませんので、事後的な資本政策を念頭に、最初から1000万株くらいにしても構いません。が、実際にはそのような例を見ることはあまりありません。

他方、たまに見かけるのが、あまりに少ない発行可能株式総数 and/or 設立時発行株式数のStartupです。これは、正直言って結構な割合で拝見するのですが、正直やめた方がいいことが多いと思います。というのも、プレシードで500万円入れてくれるエンジェルさんなどが見つかりました、というときですら、株数が少なすぎて(早速)株式分割をしなければならないことがあるからです。このデメリットは日米共通ということですね。

株式分割自体は複雑な制度ではありませんが、一応面倒な手続があり、増資の登記変更に併せて株主総会決議や変更登記申請をすることもできつつ、やはりやらないで良いのであればやらない方がよいシロモノ、ということができるでしょう。

他方、日本の方にとって1円未満の単位は直感的に気持ち悪いみたいでして、「1万円出資して会社を設立する。設立時発行株式は10万株にする。とすると、1株当たりの価値は、0.1円になるな…10銭か…なんかヤだな…」と思われる方が多いのも事実。

ですので、結論としては、設立時に出資する額を念頭に、例えば

・10万円で設立するときは設立時発行株式も最大10万株

・1万円で設立するときは設立時発行株式も最大1万株

とした上、発行可能株式総数はその10倍~100倍程度、という形を出発点にご案内させていただくことが比較的多くなっていたりします(なんで10倍~100倍か、というのは感覚的なものです笑。Startupの話を超えた余談ですが、買収用のSPCとして株式会社を設立するときは、発行可能株式総数1株、設立時発行株式数1株で走り出すことが多いです。こちらも、理屈上は発行可能株式総数をタンマリ枠取りしておいても構わないはずではあるので、日本はどうも余計な枠を好まない風潮があるのかもしれませんね。)。

この点ハタエ・タケウシ両隊員とも何度か議論したのですが、上記みたとおり少なすぎると弊害があるものの「これが正解」という基準がないため、ある程度決めの問題になってしまいますから、創業者の方に「任せるぜ」と言って戴いた際には、以上を原則に、お伺いしている

①Co-founderの有無、

②ご家族やご友人に株を持ってもらいたいか否か、

③ストックオプションを出す予定があるか、そして何より

④近い将来に外部からのファイナンスの予定があるか、

といった事情を踏まえ、決めさせて戴いております。

※なお、Startupが無事にIPOでEXITする際には、発行可能株式総数の調整はそれなりに重要性を帯びてきます。上場会社(会社法で言うところの公開会社)においては、原則として発行済株式の数が発行可能株式総数の1/4を上回っていなければならん、というルールがあるからです。なのですが、実際にはシードラウンドからIPOに直行することはまずないため、それまでの外部からのエクイティ・ファイナンスの過程で諸々調整されていくことになりますので、ご心配なく。

ストックオプションについてはだいぶ語りたいことが多くあるのですが笑、ここで一点のみ付言しておくと、日本ではオプションプールは10%から多くてもせいぜい20%くらいまでのことが多いです。シリコンバレーでタケウシ隊員が直面した30%近い数、というのはかなり大きいですし、日本だとちょっと目立つと思います。語弊を恐れずに言うと、日本の創業者は過半数の議決権保有に拘る方も多いので、そのような風潮と併せ考えると、大きめのプールは投資家からは敬遠される傾向がある、というところなのかもしれません。

秋が深まりつつありますが、皆様体調には気をつけて。素晴らしい週末に向けてあと1日頑張りましょう!

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