Venture Debt (2)

前回2月23日にエントリーしたVenture Debtの続きです。Droneの攻勢で(さっぱり?忘れておりましたが)忘れないうちに続きを…。

さて、前回、アメリカにはVenture Debtと呼ばれる資金供給源があるよ、それはStartupに対してデットファイナンスを付けてくれるところだよ、日本の銀行と違って原則担保を取らないけど、アップサイドを狙ってオプションを取得したりはするよ、というようなところまで行きました。

今回は、じゃあなんでそんな貸付がまかり通るのか、という当たりのお話をしてみたいと思います。

結論から言うとなんてことないのですが、主要なVenture Debtは、トップティアのVCが出資しているところにしか貸付の話を持って行きません。つまり、「著名なVCが出資している=ある程度成功確率が高い」という信用供与が可能、ということになります。

このあたりは日本とは文化が違いますから、シリコンバレー、というかアメリカならではの仕組みですよね。日本で「ここが出しているなら無担保でお金貸します!」という銀行はさすがにないでしょう(説明ができませんしね。)。

ただ、ここには重要な2つのポイントが隠れているのです。それは、

(1) アメリカのVCはフォローマネーを入れる

アメリカのVCは、一旦出資すると、次回メジャーラウンドの目算が立つ前にお金が枯渇したような場合(いい意味のときもありますが、多くはあまり良い状況ではないでしょう)でも基本的にはブリッジファイナンスを供給します(勿論何度も繰り返すことはありませんが。)。Startupが大きく育って、結果めでたく次のメジャーラウンドを迎えることになった場合は勿論追加出資をして行く場合も多いです(あまりにバリュエーションが上がり過ぎて、通常のVCが出す金額では無くなってくると、いわゆるプライベート・エクイティの人達が出てきます。)。

つまり、Venture Debtから見ても、「このVCが入れている。成功確率は高いだろうし、仮に上手くいかなくても、少なくとも既存投資家の誰かが1回はお金を入れるだろうから、その時点である程度は回収できるな」という目処が立つのです。ある意味、Startupの資金繰り表上、重要な入金があることが分かっている状態とでも言いましょうか。

これに対し、日本のVCさんはそのようなお金の出し方をすることはあまり多くないと言われています。勿論それはStartupの状況次第で、ブリッジを供給してそのStartupを救済しようとすることもあると思いますが、基本的には日本のVCさんはフォローマネーを簡単には出さないと言われているのです。

勿論これは日本のVCさんが悪いという話ではなく、あくまで投資の方針の問題です(お金が必要であれば入れる、というのでは、与信管理がないのと同じです。)。また、日本では大きく銀行系のVCと独立系のVCがありますが、最近は大企業が投資をするためにCVC(Corporate Venture Capital)を作る場合も多いですよね。CVCがファンドを持って活動しているような場合は上記と同じですが、投資案件毎に親会社である本体から予算を取ってくるようなタイプだと、それこそフォローマネーを入れるハードルは非常に高くなります。フォローマネーはおろか、親会社の社長さんや担当の役員さん交代に伴う「経営方針の変更」などの影響をモロに受けやすいのもCVCの特徴ですから、追加的な資金供給が時間の経過と共にそもそも無理になっているケースもあるかもしれません。

いずれにせよ、日本の環境の下では、Venture Debtが存分に活躍するのは少し難しいかもしれませんね。

524a4c_afc0ac4d37cf44139eedfbab255e05d9

(2) Venture Debtはアップサイドも狙う

そして、前回も少し言及しましたが、Venture Debtは渋く金利だけで商売をしているのではありません。Startupという、経済的には多かれ少なかれ不安定な存在に無担保で巨額の貸付をするというリスクを取っている以上(ちなみに、貸付金の使途も制限しない場合が多いと言われています。)、ビジネスですからアップサイドも狙いに行きます。この場合に多く使われるのは、Warrant−ワラントです。

試しに、以前某Startupの方にざっくり教えて戴いた某Venture Debtの契約条件を見てみましょう(殴り書きでメモったため詳細は分かりません笑)。

貸付金額:$3M

資金使途:制限なし

貸付方法:3回に分けて

返済期間:3年

貸付条件:

 利    息:秘密笑

 期限前弁済:OK

 担    保:基本ナシ(IPにLienを付けようかと検討はしたらしい)

 ワ  ラ ン  ト:

  ① 次回メジャーラウンドのときに額面で買える

  ② Piggybackあり

  ③ S-3 registration rightsあり 

  ④ 自動転換あり

こんな感じです。面白いですねー。ちなみに有名なVenture Debtは2つあって、一つは無く子も黙るSilicon Valley Bank(通称SVB)。勿論通常のマーチャントバンク的なこともやっていて、現在もFacebookはSVBのCheck Book(小切手帳)を使っているとか。SVB自体が一つの成功したStartupみたいなもんですね。もう一つはWestern Technology Investment(通称WTI)。こちらもとてもアグレッシブに活動していらっしゃいます。

ちなみにVenture Debtが貸付を行うような「トップティア」のVCって何処なの、ということも気になりますが、それはまぁ予想どおりです。KPCB、A16Z、Sequoia、Accel、そして我がDFJなどなど。そのうち著名VCについてもどんな感じかレポートしますね(KPCBが訴えられているセクハラ訴訟も一言言いたいんですが笑)。

というわけで、ほんとはそろそろ米国ワラント設計の基本的なこととかも書いた方がいいんだろうなぁ~と思いつつ、イヤでも待てよアレが先か、とか思いつつ、だんだんと夏っぽくなってきたシリコンバレーの一日が過ぎていくのでした。

これにて「Venture Debt」完。

ではまた~

この記事が気に入ったら
いいね!をお願いします

Twitter で

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です