アメリカでの会社設立(1)〜アメリカの会社の種類〜

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アメリカでビジネスを始めようとする場合、どの種類の法人を作るのかということをまず検討することが多いのではないでしょうか。

もちろん、

法人なし、身1つで立身出世じゃ!!!

と考える方もいらっしゃると思いますが、その場合、いざ失敗した時に、負債等のリスクを全面的にその個人の方が追わなければならないことになるため、あまり合理的な手段ではないと思います。

ということで、法人を作ろう!という話になるのですが(法人を作る意味等について知りたい方がいれば、この記事と同じようなカジュアルな論調で説明しますのでご連絡くださいませ)、日本にもたくさんの種類の法人があるように(例:株式会社、合同会社、組合、有限責任組合)、アメリカにもたくさんの種類の法人があります。

よく検討の遡上にあがってくる法人としては、

①Corporation

②LLC (Limited Liability Company)

③Partnership

④LLP (Limited Liability Partnership)

といったものがあり(厳密には「法人」とは言えないものも含んでいますが、メンドクサイので「法人」と言っておきます。ご容赦を。)、さらに、①の派生法人(?)として、

⑤S−Corporation(これとの対比で、①のことをC-Corporationと呼んだりします。)

というのも、ちらりと顔を覗かせたりするかもしれません。

ということで(どうゆうことで?)、まずはCorporationから。

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Corporationは、日本でいうところの株式会社です。もっとも典型的な法人といって良いと思います。

日本における株式会社とほぼ同じと考えてもらって問題ないと思いますが、日本の株式会社が、取締役会非設置/設置会社だの、監査役設置会社、監査等委員会設置会社(留学中にいつのまにかできてましたね)だの、新株予約権だの社債だの、かなり緻密に作られていますが、こちら(代表選手はデラウェア州)のCorporationは、そんなまどろっこしい区分はありません。

取締役は1名からOKですし、仮に取締役が1名であってもBoard of Directors(取締役会)というものは存在します。もちろん、Board of Directorsの構成とか、権限とか、株式の譲渡制限とか、そういった細々したものはCeertificate of Incorporation(日本でいう定款)やBylaws(日本での位置付けが難しいですが、さしずめ、取締役会規程や株式取扱規程といったところでしょうか)で定めることもできますが、デフォルトのCorporationは、一種類しかなく、その意味で極めて単純です(余談ですが、お世話になっているof counselと日本の会社絡みの案件について話をしたとき、「取締役会設置会社と取締役が複数名いる取締役設置会社で何が違うのさ?別に取締役1名だってそれをBoard of Directorsって呼んだって良いじゃん!」みたいな話になり、ムムム…と思いました。)。

このような点や、登記制度がない(後日説明しますが、デラウェアのCorporation設立に必要なものは、Certificate of Incorporationのファイリングだけです。)ことをもって、「アメリカの会社制度は日本の会社制度よりも柔軟」と評価されたりするのかもしれません(個人的な感想ですが、「柔軟」というよりも「適当」といった方が的を射ている気がしますが。いまいち、理論的に「?」がつくものが多い気がするんですよね。。。)

このCorporationと他の法人を比べた時にもっとも大きく違う点は、「二重課税」の問題ということになると思います。二重課税というのは、オーナーである株主にお金がいくまでに、会社が収益を上げた時点で法人税が課され、さらに、株主に配当する段階でその配当に対しても課税が生じるということを意味します。これが、他の法人ですと、オーナー個人だけに税金が課されることになったり、法人の損益がオーナーにパススルーされたりするため(詳しくは後日)、法人レベルでは課税されない →「一重課税」→「メリット大」みたいな説明がよくなされる訳です。

しかし、これ、特にスタートアップに関しては、まったく当てはまらない議論です。相方が以前に言っていた通り、スタートアップで配当なんかする会社は皆無ですから、したがって、「Corporationにしたから2番目の課税が生じちゃうな〜。じゃ、他の法人にしよっかな〜」なんて、基本的に考える人はいないんです。となると、Corporationも他の法人とあまり変わりがないことになりますね(もちろん、「一重」といっても、法人レベルか個人レベルかの違いはあるわけで、後者にメリットを感じてCorporation以外の法人を選択することはあり得ます。この点もおいおい)。実際のところ、シリコンバレーのスタートアップに関して言えば、90%以上(99%と言っても良いかもしれません)がCorporation、それもDelaware州のCorporationとして設立されています。

なぜ?

長くなってしまいましたので、この点については、また次回ということで。

宿題が日に日に溜まっている気がしますが、ま、気にしな気にしない。

もう2月ですね。皆さん、今週もがんばっていきましょう!!!

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