Startupの資本構成(Capitalization Structure)に関するアレコレ(5)~創業株の初期投資の方法~

新年が明け、はや1ヶ月が経とうとしています。

その間に更新したブログは、なんと1本。

このままでは年間12本ペース。何の月刊誌やねんという話です。いかんです。

ということで、本日の投稿です。

話はクリスマス前にさかのぼりますが、ちょっとお金持ちの創業者が、それなりの金額の手金を最初に投下する際の方法のお話です。

→前回の記事はコチラ←

要するに、普通株式でそれなりのお金を突っ込んでしまうと、普通株式の価値が上がってしまい、後々低い価格で普通株式を発行できなくなっちゃうので、さあどうしましょう?といった時のお話です。

話は簡単でして、普通株式でお金を入れるから問題が生じるのですから、普通株式で入れなければ良いということです。結論的には、ただそれだけのお話です。

じゃあどんな方法があるかというと、

① Promissory Note

② Convertible Note/Convertible Equity

③ Preferred Stock

といったものが考えられます。
以下、各方法について、簡単に触れていこうと思います。

 Promissory Note

単なる借金です。創業者が、自分の手金を借金形式で入れるということです。借金ですので、返済期限の定めも必要ですし、利息の定めも必要です。創業者による貸付けなので、利息は通常かなり低めですが、Applicable Federal Rate(AFR)を下回る利息を設定してしまうと、会社側に税務上の問題が出てきてしまいますので、少なくとも、AFRに定める必要があります。

また、借金なので、一応、最終的には返さなければいけません。最悪、放棄したり、他の株式に転換することも可能ですが、放棄すると、それはそれで会社側に利益が発生してしまい、税金の問題が生じてしまうのには、注意が必要です。

創業者の方が、現段階ではリスクマネーとして資金を投入したくない、返済してもらえる余地を残したいといった場合に、使える手法かと思います。

 Convertible NoteConvertible Equity

創業者が、将来、所定の額のファイナンスが生じた際に、そのファイナンス時に発行される株式に転換するという前提で、お金を入れる方法です。

Convertible NoteやConvertible Equityが何たるかについては、すでにたくさん説明したので、ここでは省きます(興味のある方は、Forumに記事をまとめてありますので、そちらをご覧ください)。

この方法はこの方法でアリですが、Discount RateやValuation Capのつけ方によっては、「ちょっとガメついな、この創業者」という印象を与えてしまう可能性もありますので、注意が必要です。かといって、Discount RateやValuation Capがないと、将来的にいざ転換される際に、転換によって受け取れる株式数がめちゃくちゃに少なくなる、なんて事態も考えられます。

「常識の範囲内」でこれらを設定すれば、まあ大きな問題は生じないと思います。なにが「常識の範囲内」なのかは、そのうち統計でも見ながら簡単に探っていこうかと思います(いつも先送り体質ですんません)

1262016

  Preferred Stock

さらに進めて、最初っからPreferred Stockで入れてしまえ、という話です。

Convertible Note/Convertible Equity案もそうですが、基本的な発想は、創業者でありながら、まとまった手金を「外部投資家」として入れるという形です。自分が自分の会社のエンジェルインベスターになるというようなイメージです。

Preferred Stockといっても、ごく「軽い」Preferred Stockにするのが通常で、発行価格をベースとしたLiquidation Preferenceをつけること以外には、特に何もしない(=Directorの選任権や、希釈化防止条項、同意権条項などもつけない)、ごくごくシンプルなPreferred Stockを発行する形です。

そのため、手間的にもたいしたことはなく、おそらく$5000程度で対応できるのではないかと思います。もちろん、いろいろと条項をつけることも可能ですが、無駄に時間と費用もかかりますし、②と同様、「この創業者、がめついな」という印象を与えかねないのがネックでしょうか(笑)

具体的にどんなもんかというと、例えば、

Y Combinatorが公表しているSeries AA

Fenwick & Westが公表しているSeries Seed

などが、ごく簡単なPreferred Stockに関する書面ということができると思います。

これをやるに際して一番の問題は、発行価格をいくらに設定するのか=会社のValuationをいくらに見積もってPreferred Stockを発行するのかということです。設立した手の会社のValuationなんて決められっこないじゃん!と思ったそこのアナタ、、、正解です!!!

決められるわけがありません。でも、決めなければ株式を発行できません。

ということで、答えは、

テキトーに決める

です。

ごく簡単なCap Tableを作って、いろいろ数字を変えて遊びながら、「まあ妥当かな」と思ったところのValuationで株式を発行するという話になります。

もちろん、あまりに高いValuationでシンプルなPreferred Stockを発行してしまうと、後のラウンドでPreferred Stockを発行する際に「その価格以下で発行できるのか?」という問題が出てきてしまいますので注意が必要ですが、まあこちらも「常識の範囲内」で自由にValuationを設定して、発行してもらうことになります。

余談ですが、エンジェルラウンドやシードラウンドでPreferred Stockを発行しようとする場合、この「テキトーに決める」という作業を、ガチの外部投資家とやらなければならないわけです。そりゃ大変だよね、決められないよねってことで重宝されているのが、Convertible Note/Convertible Equityというわけです。

ただ、前も言いましたが、Convertible Note/Convertible Equityは、Valuation Capを通じて、事実上Valuaitionが行われているとも言えなくもありませんので、ご注意ください。

Valuation Capがどのくらいパンチ力があるのかは、近々、遊んでもらえるCap Tableを提供しつつ、ブログに書きたいと思っています。

日本は異常な寒さが続いているようですね。今年は、カリフォルニアも雨がやったら多いですし、エルニーニョにともなう異常気象ですかね、やはり。

ということで(?)、1月ものこりわずか、頑張っていきましょう!

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