ドローンの現在 (2)

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今回は前回に引き続きドローンUSミクロ編をお届けしますが、タイムリーに保険の話が出ておりましたので、まずは少しだけそのお話を。

先週、読売新聞さんほかのメディアが「東京海上日動が来月、ドローン損害保険を発売」というニュースを報じておられました。

昨年日経BPクリーンテック研究所さんが主宰していたドローン研究会でも東京海上日動さんは講演を行われるなど、元々ご関心のあったところだったのだと思いますが、このスピード感はさすがですね!「村上さんのところ」でもドローン使うなら気をつけてねとのメッセージがありましたし、オバマさんもホワイトハウスにドローンが落っこちてきて気を揉んでいたと思うので笑、こういう形で運用の後押しがあるのは素晴らしいことだと思います。保険は最先端技術を普及させるためのインフラになるものなので、裏では色々な他の技術への準備も進んでいるんでしょうね。以前ポストした自動運転技術への対応もきっと進んでいるなと確信しました次第です。

アメリカではドローン保険ってどうなってるの?ということに興味が出てきますが、「drone insurance」とググっていただくとそれはまぁ大手から小さいところまで、多くの保険が準備されています。このあたりはさすが保険大国(健康保険を除く…)アメリカというところでしょうか。

例えばこちらのAviation Insuranceさんは、個人の趣味利用はカバーしないものの、業務用の利用であれば付保する保険をお出しになられていますし、最大手の一つAIGさんも、ドローンの運転者(操作者)個人向けの保険から業者向けまで色々とご準備されているようです。

東京海上日動さんが準備されている保険がどのようなものなのか、ウェブサイトにまだ詳細は記載されていません。が、色々と海外の状況もご調査になられ、かつ、先だってエントリーした航空法の整備も見越した内容になっているのでは、と推察しています。新しい技術を利用促進していくのためのインフラがこうやって整っていく過程を追うことができるのはなかなか面白いことです。

さてさてそういうわけでアメリカのドローン関係Startupではどんなところがあるのか、5つほど見てみましょう。

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Airware社】

まずはAirwareさん。泣く子も黙る出資陣で聞こえております。それもそのはず、入っているVCさんはKPCB、Andreessen Horowitz、GE Ventures、Google Venturesなどなどまさにドローン業界のレアル・マドリー状態。

元々ドローンは目的が先にあって、その目的に沿った飛行物体が(テイラーメードで)開発されるというものだったのですが、そうするといちいちコストが掛かりすぎる。ということでAirwareさんはドローン活用のためのシステムを作り、プラットフォーム化しました。これにより、例えばBLIがドローン事業を始めようとした場合、アマゾンで買ってきたドローンにAirwareのシステムを組み込めば、飛行管理から採取したデータのクラウド管理まで全て一括で済んでしまう、ということになりました。ドローンを普及させるという観点から欠かすことのできないサービスなんだろうと思われますので、現在$40M以上調達を終えてシリーズB中というのも納得。ちなみにファイナンスのVPに日本人の方が入っておられることも特筆すべき点だったりします。優秀な方というのは世界中で活躍するものですね…。

3D Robotics社】

お次はこちら、3D Roboticsさん。ドローンのハードウェアを開発販売しておられます。日本でもかなり有名なのでご存じの方も多いかもしれません。なんというか、カッチョイイですね…。この750ドルの新製品なんか色といい雰囲気といい、世界中で大人気のアノ掃除機を彷彿とさせますが、機能は正にお墨付き。ハードウェア開発にはコストがかかるため納得ですが、$80M以上調達しているとの噂です。CEOのクリスさんはWired Magazineの編集長だったりと異色の経歴で、度々日本でも講演等行っておられます。

Xaircraft社】

Xaircraftさんもハードウェアを開発販売していますが、飛行コントローラにも注力しているところがミソ。ドローンは平たい言い方をするとラジコンなので、どう正確にコントロールするかは非常に大きな問題ですよね。Xaircraftさんは経営陣もVCも中国系です。中国の空をブンブンと飛び回るドローン=Xairさんが作っているドローン、という時代が来るのでしょうか。

SKYCATCH社】

アプリケーション系で有名なのはこのSKYCATCHさんですね。ドローンを工事現場に飛ばして工事監理を行う、というシステムを作っています。現在クパティーノではApple新本社が建築中ですが、その現場を監理しているのはSKYCATCHのシステムです。今まで見えなかった資材の減り具合や工期の遅れを「見える化」することにより、円滑な調達や工期監理を飛躍的に向上させているようです。SKYCATCH社のウェブサイトにも書かれていますし報道もあったところですが、コマツさんとコラボして工事監理の無人化(ドローン化)を進めるなど、色々な応用を考えておられるようです。

「地図」というキーワードがあるからか、Google Venturesも出資しています(いいところに目を付けますね〜)。日本では一番有名なドローン系Startupになるかもしれませんね。

CYPHYworks社】

最後はこちら。CYPHYさんは捜索・レスキュー系や橋の検査に特化したドローンを製造販売する会社です。珍しくマサチューセッツ州に本拠を置いていて、シリコンバレーではありません。CYPHYさんの凄いところは米国陸軍をお客さんに持っているところ。その機能上の売りも「Unjammable」(混線しない)など、ハードな環境下での使用を想定しているようです。

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と、ざっと有名なドローン関係Startupを5つほど見てみましたが、意外とアプリケーションサイドでの有名どころがまだまだ、という感じですね。先日行われた500Startupsのデモでは「墓場の上にドローンを飛ばす」なんてStartupもありましたが(お墓管理システムとしてお墓管理業者へ販売)、まだまだこれから、というところでしょうか。

日本は狭いので「目に見えないところまで我が畑」みたいな状況は少ないとはいえ、今後活用される技術であること自体は間違いありません。

個人的には、「ドローンでお墓参り」というサービスはいいんじゃないか(急な場所にお墓が建っていることが多い日本の事情+特にご高齢者にとってお墓参りは重労働、だが様子を見たい)と思っているのですが、誰か事業化しませんでしょうかね…。スケールしないかな…。

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