アメリカでの会社設立(4)〜デラウェア会社の設立方法〜

TakeuchiNobuki Blog Leave a Comment

さて、

どうやってDelaware Corporationを設立するか

という点ですが、日本で株式会社を設立する根拠が会社法にあるように、Delaware Corporateionを設立する根拠も、当然デラウェア州の会社法、すなわち、デラウェア州のGeneral Corporation Lawにあるわけです。

で、その General Corporation Lawなんですが、これが大変読みにくい(そもそも、アメリカの法律って、全体的に整理されてなくて読みにくいんですが…)。別に読まなくても問題なく会社は設立できますし、実際、アメリカのCorporate Lawyerと言われる弁護士がどれだけGeneral Corporation Lawを正確に把握しているかというと、実は「?」がつくことも多いような気もするんですが、それはさておき、とりあえず、最初くらいは法律から始めてみようと思います。

General Corporation Lawの106条には、以下のとおり規定されています。

“Upon the filing with the Secretary of State of the certificate of incorporation, [略] the incorporator [略] shall, from the date of such filing, be and constitute a body corporate, by the name set forth in the certificate [略].”

「略」の多さから分かっていただける通り、こんな基本的な条文からして早速読むのがメンドクサイんですが、要するに、Certificate of incorporation をデラウェア州のSecretary of Stateにファイリングした日から、当該Certificateに定められた名称で会社が設立されますよ。」と書いてあるわけです。

Certificate of Incorporation、日本語に訳すと「定款」。

つまり、定款をデラウェア州に登録すればそれで会社設立は完了です。

ちなみに、「定款」を和英辞典で検索すると、「Article of Incorporation」というのも出てくるかと思いますが、これは、カリフォルニア州(もしかしたら他の州でも)の会社法で使われている表現であり、デラウェア州では「Certificate of Incorporation」と言っているというだけに過ぎません。表現は違えど指しているモノは一緒、と理解してもらえれば良いと思います。

how-to-incorporate-deleware

で、デラウェア州の定款ですが、何を規定しなければならないかというと、必須事項としては、

(1)     会社の名称(the name of the corporation)

(2)     デラウェア州内における会社の住所とエージェントの名称(the address [略] of the corporation’s registered office in this State, and the name of its registered agent at such address)

(3)     会社の事業の目的(the nature of the business or purposes to be conducted or promoted)

(4)     発行可能株式総数及び一株あたりの額面価格(the total number of shares of stock which the corporation shall have authority to issue and the par value of each of such shares)

(5)     設立者の氏名及び郵送先住所(The name and mailing address of the incorporator or incorporators)

となっています。

(1)は特に問題ないと思います。強いて言えば、Incorporation (Inc.)ですとかLimited (Ltd)ですとか、そいった会社であることを示す所定の文言を入れなければならないといった点でしょうか(これは、日本でも同じ規制がありますね。)。

(3)ですが、これも、実務上は、「法律上認められている一切の活動」といったような包括的な内容でOKとされていますので、問題ないでしょう(日本は、一昔前まで具体的な事業目的を定めなければならなかったのですが、今はその実務が変更され、デラウェアと同じような感じになってますね)。

(4)ですが、発行可能株式総数は、その名の通り、会社が発行できる株式の最大数を示すものです。シリコンバレーですと、通常、1000万株や1500万株でスタートするのが一般的です。Par valueというのは、株式の「額面価格」で、要するに、株式を発行する際の最低価格を示すものです。株式を発行する際には、この価格を下回ってはいけないという制約がつくわけですが、シリコンバレーでは、この価格が$0.01とか$0.00001に設定するのが通常のため、ほとんど意味のある数字ではありません。ちなみに、一株あたりの実際の購入価格を示す際に用いられる「per value」とは、微妙にスペルが違う上に全く意味が違いますので、ご注意をば。

(5)ですが、これはそのまんまの意味です。別に外国の住所だって問題ありません。むしろ、日本人が日本でDelaware Corporationを設立する場合には、ここが日本の住所になることが通常かと。

で、後回しにしてきた(2)ですが、これについてはまた後ほど。別に今書いてもいいんですが、ちょっと長くなってきたので、分けて書こうと思います。

でわまた。

この記事が気に入ったら
いいね!をお願いします

Twitter で

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です